「面接官がすすめる応募のコツ」

労働者人口の減少が深刻化している日本で、これから一層求職者の売り手市場が進行していきます。介護業界はひと際人材不足が囁かれている現状ですが、それでも求職者が本当に働きたい仕事や職場を選んで採用してもらうためには一定の準備をして、後悔のないように面接にのぞむ必要があります。

筆者は介護事業所で人事採用に携わった経験があります。採用面接時の心構えや手順についてご紹介します。

心構え①「履歴書の書き方・応募方法」

記入にあたっては手書き・パソコンは問いません。ただし、様式の項目に記入漏れが有ったり、明らかに職歴を省略したようなものは印象が良くありません。全ての項目を記入することが大前提です。さらに履歴書送付の挨拶文書を付けたり、職務経歴書を添付するとなお好印象です。採否に影響はありませんが、それらの書類を速達で応募した方もいます。『是非面接を希望し、早く貴社で働きたい!』という熱意を感じることができました。

心構え②「面接時の服装や移動手段」

面接時の服装は、手持ちであれば考える必要が無いスーツが無難です。私服でも問題ありませんがフォーマルに近いものにしておきましょう。面接会場までの移動手段は自家用車利用の可否を確認しておきましょう。路上駐車になれば応募先にも迷惑をかけることになります。また、どのような車に乗られているかもチェックポイントになることもあります。改造や、傷だらけの車両は運転業務がある事業所には当然敬遠されがちです。

次に、手順をご紹介します。まずは応募先を探しましょう。一見、「あたりまえ!」と思いがちですが、介護業界での就職先は多種多様です。就職活動をしようと思っても、たくさんの事業所が募集していて、どこがよいかわからない、といった点で悩まれる方もいらっしゃると思います。

手順①「介護サービスの種類を理解する」

介護サービスは大きく分けても、入所されている利用者様のケアにあたる施設系と、在宅で生活されている方々のお世話をする在宅系に分かれます。さらに在宅でのサービスも通所系と訪問系に分かれます。就職活動をする時点でそれらひとつひとつを理解・把握しておく必要はありませんが、自分が働くうえでのイメージは持っておく必要が有ります。

ここでお勧めしたいことは、役所や支所に設置している介護保険に関するリーフレット(無料)を活用することです。そこには、介護保険制度の説明から、介護サービスの種類について利用する方々の目線でわかりやすく説明がなされています。インターネットで調べることも簡単な世の中ですが、どうしてもサービスごとの情報に分かれたものが多い事から、介護保険サービスをひとまとめにした情報を得ようとした場合、是非お勧めしたいツールのひとつとなっています。

手順②「求人情報を収集する」

手順①でご自身が働いてみたいと興味を持った介護サービスが見つかれば、次はその介護サービスを運営していて、人員を募集している法人を探すことになります。通勤に要する時間や福利厚生、当然お給料等の条件面から比較検討されることでしょう。

以上の手順を踏まえず、掲載の限られた求人情報で就職先を探して応募すると、面接時の受け答えが面接官の求めるものにならない可能性が大きくなります。それは、介護業界に関わらず面接時の質問項目のひとつとして「志望動機」があるからです。

質問には、ご自身の率直な思いを伝えることが最善です。しっかりとした動機があればもちろん思いを伝えて下さい。ただし、「貴社の将来性や・・」など本心であればかまいませんが、作文した内容を発表するような動機は必要ありません。自身の生活スタイルに照らし合わせたうえで応募したのなら、遠慮なくその動機を伝えるべきです。その理由は、採用後の配属先や部署異動の可能性も含め、面接官は応募者が自社で働く「将来」をイメージすることができるからです。応募者にとっても就職後無理な人事異動や配属がなされることなく(おそらく)、お互いにとって長く働く上での有益な情報となります。入社前のミスマッチを防ぐことができるのです。

ご自身の今の生活スタイルだけにとどまらず、将来を見据えた上で職場を選ぶことが長く働ける職場を選ぶコツです。環境の変化や目先の給与に捉われ、都度転職を繰り返すことは、実は生涯所得にも影響します。また、勤続年数とポジションは比例していくことが多い分、長く働くことは成長につながるチャレンジの機会を得ることにもなります。

ご覧頂いた方が自身の思いや目的に沿った就職先で長くご活躍されることをお祈りしています。

2022.8.3