ストレス解消法

「介護の仕事をしているなんてすごいね」

「大変な仕事ですね」

よく言われる言葉です。かつてよく耳にしていた3Kと言う言葉。最近ではあまり耳にすることがなくなったように思いますが、「きつい・きたない・給料安い」介護業界は昔も今も変わらないままのように感じています。

「大変な仕事」と思われる理由として、一つ目には身体の不自由な方のお世話をしている、事だと思います。自身で歩けない方を支えながら一緒にゆっくりと歩いたり、自身で立ち上がる事ができない方を抱えて車椅子に乗せたり、ベッドから抱えて起したりなど、身体を酷使するきつい仕事だと目に見えて分かるからです。

二つ目には下のお世話です。説明なくともわかると思います。他人の排泄物の処理をおこなうのですから、「大変」です。

三つ目は給料が安いですが、近ごろは介護士の低賃金が問題となり、少しずつですが改善されているようです。しかし、仕事内容に見合ったものかと言えば、必ずしもそうでない様に思います。

デイサービスは朝利用者を自宅に迎えに行き、日中にお風呂や食事、レクリエーションなどに参加していただき、夕方またご自宅までお送りします。利用者は週に何度かデイサービスを利用することで、健康の維持、気分転換や生活のメリハリがつき、家族は介護負担が軽減されます。職員は利用者一人一人に対しての利用目的などを把握し、立案された介護計画に沿ってサービスの提供を行います。ただし、相手は物でなく人ですので、計画通りの対応ができない事もしばしば。その日の体調や気分によって、思いもよらない行動を起こすことがあり、職員は突然のイレギュラーな対応にあたふたし、てんやわんやすることがあります。特に認知症状がある利用者は右むいて左むいた直後に突然怒り出し、周りの利用者を驚かせます。時には職員が悪者にさせられる事もあり、理解しがたい突然の発言や行動に混乱させられます。そんな時に、「しんどいな」「本当に大変」「休みたい」と頭の中で繰り返しています。

数年前までは職場の皆との飲み会も行い、美味しい食事に楽しい会話、食事の後は皆でカラオケに行き大声で歌いストレス発散していました。しかし、コロナ感染が広まり、皆での食事も行くことが無くなり、職場では感染予防の為の業務が増え、暑い中でのマスク生活など、ストレスが溜まるばかりとなりました。

そんな中、最近のストレスの解消法は、「寝る事」でしょうか。寝て忘れるという事ではないですが、睡眠が十分にとれた翌日は目覚めが良く、疲れが取れてスッキリした感じがあります。睡眠について調べてみると、「脳や身体の休養」「疲労回復」「免疫機能の増加」「記憶の固定」「感情整理」など、睡眠によって得られるものがたくさんある事が分かりました。私の場合ですが、あまりに忙しく余裕がない状態となりストレスが溜まると、急に涙が出てくることがあります。そこからいろんなことを考えさらに泣きだし、泣きつかれて寝る。すると次の日少しさっぱりとした気持ちで起きることができる。いろんなモヤモヤとしたものが無くなり気持ちが切り換えられた、まさにストレスを解消できたのだと思います。

職員にも聞いてみると、好きなホラー映画を見て叫ぶ。感動作品の映画を見て思いっきり泣く。いつもより高級なお肉や魚を買って贅沢な食事をする。大好きな甘いものを食べまくるなどなど。趣味など自分が楽しいと思う事を行ったり食べたりと、それぞれに合ったストレスの解消法がありました。

趣味がなく、食べるものに特にこだわりがなく、ストレスの解消法が分からないという方は、よろしければ「寝る事」をしてみて下さい。ただ寝るのです。寝ることで脳を休め身体の疲労回復ができます。自律神経の働きが整うことでストレスの緩和につながります。

ぜひ試してみてください。

この記事を書いたのは

介護ライター。介護福祉士・社会福祉主事・認知症ケア専門士。デイサービス、小規模多機能型居宅介護、介護老人保健施設などで20年以上働いてきた経験、現在は民家改修型の地域密着型通所介護管理者。介護現場の実情や日々の利用者とのふれあい、また認知症に関する情報を発信。