リーダーが理解しておくべき「チームワーク」

私の働くデイサービスでは、一日の利用定員数に対し4~5名の職員が毎日出勤しています。

 

職員1名がコロナ陽性となり自宅療養で休むこととなりました。正職員ため、組んでいた勤務表のままでは業務が回らない状態。まずは他の職員に自宅療養の期間などを伝え、それとともに勤務も変更することを伝えました。それぞれ希望の休みもあり、勤務を変えるのは容易ではありません。心苦しく思っていると、職員数名が

「私、この日午後からなら出勤できます」

「私はこことここの休みは予定ないので出勤できます」

「送迎の時間帯だけでよければ勤務できます」

と次々に休日を変更してくれ、穴埋めはあっという間に出来ることになりました。

 

しかしほっとしたのは束の間、別の職員から「家族がコロナ陽性になった」と連絡がありました。すると他の職員が勤務変更可能だと申し出てくれ事なきを得ました。

このように、職員が会社の事、利用者の事、そして職員同士互いの事を考えながら行動している事をとても頼もしく感じています。

 

以前は職員間でぎくしゃくした雰囲気がありました。毎月勤務表が完成すると、苦手な職員との勤務が何日あるかなどを確認している職員もいました。人間関係の相性やストレスは多かれ少なかれ存在します。ただこれでは介護現場はうまく回りません。また職員同士のコミュニケーション不足で「言った、言わない」「聞いた、聞いていない」等々。そしてそれに振り回される周りの職員たち。何もかもがうまくいかず、働きにくさは増すばかりでした。

利用者にも雰囲気は伝わっているようでした。

 

そんな時ある問題が起きました。ある若手職員がベテラン職員から短い単語で「それはダメです」と注意を受けたことでした。何がダメなのか理由が分からず経過し、次に失敗しないように気を付けていると、今度は「何で出来ていないの?」と言われ、納得がいかないという声です。そこでまず職員全員から今の思いや考え方などを聞き取りました。そして今回の問題の若手職員、ベテラン職員の双方に言い分を聞きました。その結果、介護に対する思い、利用者に接する姿勢、仕事に取り組むモチベーションは双方同じで、今の仕事が楽しいと共通の認識でした。ベテラン職員の「相手はわかっているはず」、若手職員の「わからない内容を聞かずにいたこと」どちらも反省の言葉をお互いに話し合いました。あれから数週間、雰囲気はガラリと変わりました。声掛けひとつにしても必ず理由を伝えながら言うようになり若手職員もわからないことは素直に尋ねるなど、コミュニケーションを上手に取っています。そしてその影響は周りの職員にも波及したようで職員皆の笑顔が増え、フロアー全体の雰囲気が明るくなったように感じます。

 

チームワークとは「組織に属するメンバーが共通の目標を達成するために、お互いに協力・連携しながら、相乗的効果を導く共同作業を指す」とあります。

「利用者に楽しかった、また来たいと思ってもらえるデイサービスにする」

これが職員共通の目標であり、日々達成するために努めています。利用者への思いが同じだった為、利用者を困らせていると伝えたことにすぐに自身の行動を直せたように感じています。

 

先の方向性や目標がきっちりと決まっており、それを職員全員が理解出来ているなら、チームワークもどんどんと高まるのだと思います。コミュニケーションも増え協力しようとする気持ちも強くなるでしょう。モチベーションが上がりたくさんのアイデアも出てくるように思います。

 

目標がぶれることなく、今後も同じ方向を向いて、今の良好なチームワークを継続していきます。

この記事を書いたのは

介護ライター。介護福祉士・社会福祉主事・認知症ケア専門士。デイサービス、小規模多機能型居宅介護、介護老人保健施設などで20年以上働いてきた経験、現在は民家改修型の地域密着型通所介護管理者。介護現場の実情や日々の利用者とのふれあい、また認知症に関する情報を発信。