入職後のフォローアップ体制

介護業界で働く魅力のひとつには、未経験・無資格からでも仕事に就き、働きながら資格を取得できる点が挙げられます。

そのため、入職する人は同じ介護職員でも、10年以上の経験を経た介護福祉士から、未経験・無資格で飛び込む新人スタッフまでが存在します。介護職に限らず看護師をはじめとする有資格者でも、介護施設・事業所での経験者か、未経験者かでその受入れ方や指導方法も大きく変わってきます。

まずもって勤務する配属先・サービスの種類によってやりがいや視点、大変さが異なってくるので、それを踏まえた受け入れ体制が必要となってきます。

サービスの特徴

入所系施設

例えば特別養護老人ホームでは、主に要介護3以上の中重度の介護を必要とする利用者をお世話させて頂くことが多くなります。食事・入浴・排泄など三大介助を中心に、ベッド車いす間の移乗介助にも軽度者と比較してより技術を必要とします。ここでは、早期に介護技術を身に付ける必要性が高くなる一方で一定の技術を身に付けてしまえば、そこで生活される利用者の人生に寄り添うことが可能になり、その点にやりがいを感じて職場を選ばれる方も少なくありません。

通所系サービス

在宅で生活する利用者であることから、平均的な傾向として入所施設より軽度の方々が圧倒的に多くなります。初心者で応募された方の動機の一つには「入所は重度の方が多くて介護技術に自信がないので、お元気な方が多いイメージのデイサービスを選びました」と言われる方も。ただし、通所系は通所系で大変な事があります。それは、日々利用される方の顔ぶれが変わることです。入所系はある一定の利用者を覚えてしまえば数名の入退所があったとしてもほぼ同じ顔ぶれのケアにあたることができますが、通所は毎日ご利用される方はほぼ居ません。その中で曜日毎、日替わりで利用者を覚えていく作業はとても大変な事です。

訪問系サービス

訪問系では1対1のお世話ができることにやりがいを感じて働く動機にされる方が多いです。訪問系サービスの難しいところは、訪問先に相談やアドバイス、指示してくれる先輩スタッフが居ないという事です。状況にもよりますが、都度自分一人で判断対応する必要がある点から、一定の経験や能力を備えた方である必要があります。訪問系は無資格者がサービス提供をおこなえない理由はここにあります。

フォローアップ体制のポイント

職種やサービスの種類に関わらずすべての新入職員に伝えていることがあります。それは、上司や先輩職員は「今日から働く〇〇さん」と一人の新入職員を覚えるだけですが、新入職員は職場スタッフ全員の顔と名前を覚え、そして肝心な利用者の顔と名前、注意点等を覚えなくてはなりません。さらに業務のスケジュールや手順を身に付けていく・・・どんなに覚えるのが得意という人でも経験上2ヶ月は必要です。平均的には3ヶ月から半年の時間を要することもあります。前述の施設の特徴を踏まえつつ、そんな簡単な仕事ではないことを入職間もなくに伝え、気負い過ぎないように促しています。それでも数か月後に「戦力になれていない」「とても覚えきれない」といった理由で退職を考える方も少なくありません。離職率は2ヶ月~6ヶ月が圧倒的に高く、6ヶ月を過ぎると別の事情による退職に至るまで長く続けられる傾向があります。「6ヶ月を乗り越えよう」と伝え、励まし続けた結果、現在ではベテラン職員になっている人もいます。

受け入れ側にも課題を感じています。それは研修期間を設けると、期間満了と同時に先輩職員たちの目線は良くも悪くも、突然「新人」から「同僚」に変わっているのです。研修期間はあくまで目安として、半年は新人として見守っていく必要を感じています。

そして、多くの事業所は研修担当職員といった専属部署は存在しません。目の前のお客様のケアにあたる一スタッフとして通常業務をこなしながら、追加で新人の指導にあたるというところが多いのが実情です。

なので、入職された新人職員にはこれらの実情を伝え、受け身にならず不明点は自ら確認していく姿勢を求めています。細かい実務の指導は最低限の研修と日々の業務から経験により学べます。それよりも先輩に指導を受ける際の姿勢や、質問する際の伝え方など、コミュニケーションの取り方や関係性構築のコツなどに重きを置いて指導にあたるようにしています。

この記事を書いたのは

介護ライター。社会福祉士・ケアマネジャー。現在はデイサービスを経営する代表取締役社長。20年以上、介護老人保健施設に勤務。主に相談業務や施設運営に携わってきた経験。介護現場の実情や社員の教育から会社運営まで、幅広い記事を担当する。