新型コロナウイルスの感染が始まり2年半。デイサービス施設でのサービスの提供内容も今までのものとは違ってきました。マスク着用に、時間ごとの換気と消毒、人との距離を保ち、大声を出すことを控える。施設に来所される利用者には「自宅であまり話さない方も、来所されたら大きな声を出して、話して笑って過ごしましょう」と言い続けてきた事が、積極的に言えなくなってしまいました。
朝の迎え時には自宅での体温を確認し、手指消毒。席の間は距離を開けるように座り、距離が狭いテーブルの上にはアクリル板。笑顔で話す際、伝えようとする言葉の間に、マスクとアクリル板がある為、会話が成り立たない事もしばしばです。
利用者A「あなたは何年生まれ?私は昭和6年生まれで90歳超えてるの」
利用者B「私は生まれてからずっと姫路。姫路から出たことがないの」
利用者A「私は未。息子は巳年で、娘の干支は、、、忘れてしまった。また聞いてくるね」
歳と共に聞こえにくくなってきたこともプラスされ、聞いている会話に周りの利用者が首をかしげます。年齢を尋ねると出身地を教えてくれ、それに対して生まれた干支を答えるなど、ちぐはぐな会話でもなぜか続く不思議な現象に、まるで漫才を見ている様で、自然と周りの利用者から笑い声が聞こえてきます。
昼食前には手洗いを行っていただくことも、当たり前の事のようになってきました。今までは周りの利用者や職員と楽しそうに食べていた昼食も、談話はなく、黙々と食べます。途中、話し出した利用者には「冷めないうちに食べてね。食べてからゆっくりと話しましょう」と声掛けします。正面のアクリル板も左右横を向いての会話では役にたちません。多少と思う事でも決められた感染対策を行う必要があります。また、定期的な換気も大切です。
現在感染が蔓延中ですが、コロナ感染をおそれ自主的に休まれる利用者はほんの数名です。
ただ最近気が付きました。コロナ禍前と今とでは違う視点から物事を見て考えていることに。それは笑顔と知恵と、そしてひらめき。
例えば、楽しみにされていた定例の買い物外出。外出しにくくなった今、移動販売に来ていただくことにしました。
また近所のなじみの喫茶店に行くことも人目を憚られる、そんな声からデイサービスフロア内で本格的なドリップコーヒーを出す喫茶イベントを開催するようにしました。
そして画期的なことにインターネットを通じ全国の施設とSNSでつながりを持つようになりました。距離を保ちながらでも楽しめるレクリエーションの方法や全国のデイサービス施設や介護施設での多彩で有意義な時間を過ごせる取り組みなど、情報を共有し運営に生かせるようになりました。
以前とは変わってしまった窮屈な生活、しかし全てがマイナスな事ばかりではありません。このように新たに気づけたことやインターネットを通じ学べたことも多くあります。
私たち介護スタッフは、『いつでも笑顔!』『コロナに負けない!』を合言葉に、利用者の意欲を引き出し、身体的能力や生活の質の維持向上、さらに、いつまでも住み慣れた自宅で暮らしていけるよう支援していきます。
週に数回のデイサービス利用が利用者にとっては、とても大切なものですから。
2022.8.3
姫路市デイサービス職員