新聞やインターネットなどで介護業界について調べると、必ず聞いたことのあるテーマは介護職員の処遇改善についてです。特にコロナ渦の現在においては、よりエッセンシャルワーカーの重要性が注目されるなか、社会問題となっているといっても過言ではないでしょう。
とはいえ、介護の仕事を考える求職者の方や、実際に今働いている介護職の方の中でもどれだけ処遇改善手当について理解されているかと言えば・・・いかがでしょうか?
実は、処遇改善手当に関する情報は職場を選ぶ時の大切な手がかりのひとつでもあるといえるのです。その基本について整理していきましょう。
現在、処遇改善に関する加算(補助金も含む)は大きく分けて3つあります。
- 介護職員処遇改善加算
- 介護職員等特定処遇改善加算
- 介護職員処遇改善支援補助金 です。
障害福祉分野においても名前に多少の違いはあっても同様の加算や補助金があります。では、この加算等はどのように介護職員の処遇改善に役立てられているのでしょうか。
まずは、対象者です。
1.は、実際に介護職員として配置され、働いている人のみに支給されます。なので、看護師さんや生活相談員など、介護事業所に求められる人員配置基準上の職種と言っても、この加算から頂く報酬を介護職以外の職種に充てることはできません。
2.は、経験・技能のある介護職員に対してより手厚い処遇の改善を図ることができるように設けられた加算です。しかし、①と大きく異なる点はその対象者で、それぞれの事業所によって支給する職種の範囲を決めることができるということです。なので、ある一定の条件に基づいていれば事業所全ての職員に対して支給することも可能となっています。
例えば、介護福祉士として10年以上経験のある方であれば、この加算から頂ける賃金はより手厚いものとなっていますので、そのような方は働く(働きたいと考えている)事業所でこの加算の算定をしているかどうかは大きなポイントとなってくると思いますので是非チェックしてみてください。
3.は、あくまで介護職員への賃金改善がメインであるとしているものの、対象者については②に近い要件です。補助金は、令和4年2月から9月までの時限的なものとなっていますのでご注意を。とはいえ、それ以降についても形を変えて同等の処遇改善がなされる見通しです。これから働きたいと考える方は慌てて職場を選ぶ必要はありませんのでご安心ください。
対象者については以上です。
では、これらの加算や補助金を事業所が頂く(預かる)には、介護事業所であればどこでも頂けるのでしょうか?
実は、複雑な算定要件があります。
その一つとして、処遇改善はイコール賃金だけを指すものでは無いということ。介護職員がより働きやすい職場環境の整備を算定する事業所には求められます。処遇改善加算は、さらにいくつかの区分に分かれています。区分や、事業所の規模、介護サービスの種類ごとに加算率は異なるので事業所に入る金額も変わります。最上位の加算を算定するのなら、その分多くの要件をクリアすることが求められており、すなわちそれを算定している事業所は、より良い職場環境や介護職員の待遇改善に努めているという位置づけになってきます。
会社・事業所にとっては加算で頂いた金額を上回る待遇改善がいずれも条件とされています。ということは、事務量や手間が増えて収入は増えない、と考える事業所もあるかもしれません。一方で、現場で働く職員の待遇改善の取り組みを加算や補助金を通して形にしていけると前向きにとらえる事業所もあります(後者の方が多いのでご安心下さい!)。
介護のお仕事、就職先を考える際、気になる事業所が処遇改善加算・補助金を算定しているか、どの区分を算定しているか、によって職場環境が少しだけ見えてきたりします。より具体的な取り組みや、詳しい内容を知りたい場合は、事業所のホームページや介護サービス情報公表システムから閲覧すれば取り組みを掲載しているところも多くあります。
介護の仕事は、経験や資格の有無を問わず、働きながら成長できる魅力あるお仕事です。求人広告など、お給料だけの情報で選ぶのではなく、そこで働くことで自分の将来の成長過程がイメージできるか、はとても大切な要素だと思います。
是非、ご参考になさってください。